ランニングにより膝周りに種々の炎症疾患を生む病気の総称になります。
代表的な疾患は腸脛靭帯炎や鵞足炎、膝蓋靭帯炎や膝蓋軟骨軟化症です。または加齢由来の変形性膝関節症などもランニングにより誘発します。
腸脛靭帯炎や鵞足炎は種々の筋肉の摩擦動作によって起こるものですから、患部の安静はもちろん湿布やテーピングで患部の保護をすることで3~5割程度症状は軽減します。
今回は腸脛靭帯炎と鵞足炎について詳しくお話しします。
膝の外側に痛みが出現します。この疾患はO脚(内反膝)の方になりやすく、ランニングの接地時に足関節が過回内(接地時に足裏の加重が外側ばかりになります)になり症状が出現し易くなります。
また下り坂などでも患部に負担が掛かりやすいので注意が必要です。この疾患も患部の過負担により起こる病気です。患部の負担を軽減するために靴の中に衝撃吸収材を使用したり、O脚を回避する目的でヒールウェッジを入れたり、患部の筋肉の走行に沿ってテーピング(しっかりとした張り方をしなければ意味がありません)を張ることはとても有効であります。また関連筋の筋緊張が出ている場合にはマッサージで患部を緩めることで炎症部位への負担も軽減されます。
この病気は治療も大切ですが漠然と治療だけするのではなく、何が原因で起こったのか、それをみつけて改善することがとても大切です。例えば下肢のアライメントが原因の場合やランニング環境を改善指導することやランニングフォームも関係してきますので、ただ治すだけでなく今後の再発防止のチェックも必要となります。
基本的に坂道は避け、平坦で柔らかい走行路を選択すべきでしょう。
腸脛靭帯炎は大腿部外側に出現しますが鵞足炎は反対の膝内側に出現します。理由は膝の屈伸の際に内側側副靭帯と鵞足による摩擦により鵞足(縫工筋・薄筋・半膜様筋)腱の付着部や鵞足滑液包に炎症を起こします。
普段あまり運動しない方が急に運動することで暫し起こりやすいと言われています。症状は階段の上り下り、立ち上がったりしゃがんだりした際に痛みが出てきます。
治療方法は腸脛靭帯炎のアライメント的に真逆になりますからX脚の方に出現しやすくなります。地面からの衝撃の対応は一緒ですが、アライメントは真逆に考えて治療します。基本的には腸脛靭帯炎と似たような治療になります。
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